【後編】世界一周中にボツワナで首絞め強盗に合いました。


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KC
どーもKCです。

今回は前回の続きから!どーぞ!!

【前編】世界一周中にボツワナで首絞め強盗に合いました。

事件は突然起きた

夜中22時頃に、ボツワナの貧民街に連れてこられた僕。

暗闇の中に立っていた彼と僕は挨拶のつもりでハグをした。

次の瞬間、僕はチョークスリーパーをくらっていた。

この時、何かの冗談かと本気で思っていたが、チョークスリーパーがなかなか硬い。初めて、あんな強いチョークスリーパーを食らった笑

もし、僕が柔道でもやっていたら、その場で背負い投げなんてこともできだんだろうに、僕は全く無力だった。

そんな全く抵抗する術を持たない僕から、昼間一緒にいた彼は僕からバッグとお腹に隠していたシークレットマネーバッグを奪い去り、2人で逃げていった。

気を失いそうなほど、首を絞められたのにも関わらず、僕は一瞬の躊躇いもなく彼らをダッシュで追いかけてた。走りながら、僕は「HELP ME!!THIEF!!(泥棒)」 と叫んだ!!

貧民街の全員に聞こえるように、大声で叫んだ!!絶対あいつらを捕まえてやると一心不乱に走り、叫び続けた!!

犯人を追いながら、通り過ぎていく人が僕の存在に気づく。僕と一緒に犯人を追いかけてくれた。また1人、1人と犯人を追う足音は大きくなる。

気づいた頃には、

どこから現れたのか50人ほどの人が犯人を追いかけている。

もはや、誰を追いかけているのか分かんなくなるんじゃないかというほどに。

50人もの大人数がそれぞれ声を出しながら、犯人を追いかける。僕も「HELP ME!!」と叫びながら走り続ける。

ここから更に追い討ちがかかる

人間の声の中に犬の鳴き声も混じっている。犬の走る速度は速く、すぐに近くに迫ってくる。犬の存在に気づく僕。どうやら犬は、犯人ではなくて、僕を追いかけているようだ。

修羅場だ。走り始めて、3分ほどたっただろうか。のび太並みの運動能力しかない僕は、もう死にそうだった。

そして、

力尽きた僕は犬に足を噛まれた

どたーとずっこける僕。

なぜあの犬は犯人を追いかけず、僕を追いかけたのか。今だに謎である。

犬は、倒れる僕を見てどこかに行ってしまった。なんて役立たずな犬なんだっ!!

噛まれた右足を見ると、血だらけである。まさに、満身創痍な僕。足は動かないし、もう立つ気力がない。やっと、僕は今の状況を理解できた。八方塞がりである。

人間、本当に絶望の淵に立つと身動きが取れなくなる。

事件は急展開を見せる

そんな僕に小さな救いの手が差し伸べられる。小学生ぐらいの数人の子供が僕の手を取って、どうにかなるよ。大丈夫。と僕を励ましてくれる。

もう僕は膝をつき、泣きべそをかいている。ぐすぐすと子供達の天使のような笑顔を見ながら、泣きじゃくっている。

暗闇の中から、筋骨隆々で巨体なおじさんが現れる。

彼は、僕の盗まれたバッグを右手に持ち、空高く掲げこう言った。

取り返してきたぞー!!と。

よく見ると、彼は左手で1人の犯人を抱えている。

彼は、犯人をとっつかまえたのだ。感動した。僕は、大声で泣いた。泣きながら、彼の元に歩き、抱きついた。

もし、子供達が天使であるならば、このおじさんは僕にとってのメシア、救世主である。

救世主に小さな声で力無い声でHOW?と聞いた。

彼は、僕のバックを手渡し、僕はそれを両手で抱きかかえた。そして、彼は右手の手のひらを広げ、それを前に突き出して、Just do this. と言った。

それは、かっこよかった。惚れてしまうほどに彼の言動はかっこよかった。

バックの中の荷物は無事で財布も入っていたが、現金はなかった。きっと、もう1人の犯人が現金のみを持って逃走したのだろう。

その後、僕は、この一連の逃走劇を共にした仲間と共に、貧民街の交番に行った。メシアはいつの間にかいなくなっていた。

そして交番へ

血だらけの右足を引きずりながら、10分ほど歩いたところに交番はあった。取り調べを30分ほど受け、その場で足の治療をしてもらった。貧民街の交番には簡単な医療キットはあるものの、麻酔などあるはずもなく、警官のおじさんは傷口に水をかけて、手でガサガサと荒々しく、傷口を綺麗にしてくれた。

激痛のあまりに、泣き叫んだ。今までに感じたことのないほどの激痛だった。

傷口を包帯を巻いてくれた。しばらくすると、宿のオーナーが迎えにきてくれた。彼の車に乗ってから、翌日テントの中で目を覚ますまで、何があったのかは覚えていない。記憶からすっぽり抜け落ちてしまっているのだ。

病院通いの一週間

ここから1週間は、僕の病院通いが始まった。狂犬病の注射を打ってもらい、傷口の手当をしてもらう。

その間、宿の仲間とはかなり打ち解けた。みんなでBBQをしたり、ビリヤードをして楽しんだ。そうこうしているうちに1週間ほどで傷は治り、宿の仲間とお酒を飲んで、ダンスできるほどに回復していた。

宿の仲間のおかげで、僕は心身共に完璧に復活していた。元軍人のイギリス人のおじさんに何度も言われた言葉がある。毎朝病院に通う前に言われていた言葉だ。

Don’t trust anybody. Learn the English.
誰も信じるな、英語を学べ。

事件の真相はいかに?

実はこの1週間の間に警察に何度も足を通い、取り調べを受けていたのだ。ただそんなに英語が堪能ではなく、警官はバリバリのアフリカ英語を喋るので、取り調べが難航していたのだ。そして、このイギリス人の彼が同行してくれ、僕の日本英語をアフリカ英語に通訳してくれていたのだ。

取り調べの中、事件の真相についてわかったことはほとんどない。救世主が捕まえた男は、僕が昼間一緒にいた男で、もう1人の現金を持って逃走した男は未だ捕まらないままだった。

正直、僕は取り調べなんかどうでも良かった。捕まった男、逃走した男がどうなろうと全く気にしていなかった。

ただ、僕はアフリカの貧民街について大きな勘違いをしていたのだと思った。彼らは、貧しいが悪い人ではない。みんながみんな、金持ちからお金をふんだくろうなどとは思っていない。

彼らが、どんな歴史を歩んできて、今どんなことを考えて生きているのは知らないが、貧民街は危険で危ないという認識は少し違うと思った。ただ、イギリス人のおじさんが言うように、誰も信じてはいけないと心に決め、僕は、2週間ほど滞在した宿を発ち、ハボロネを後にした。

To travel is to discover that everyone is wrong about other countries /Aldous Huxley

旅をすることは、他国に対する間違った認識に気づくことである/オルダス ハクスリー

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